<<<Back ▲UP ■ The Farewell Knight ■



Chapter 9




 FLAG本部に戻ったエイプリルは、警備員からナイト2000が一時間程前に一度戻って来て、まもなくどこかへ行ってしまった事を当直の職員から聞いた。その職員によればどうやらKITTはマイケルを探しているらしいと言う事だった。確かにKITTは異常を起してはいるが、少なくとも危険な状態ではなさそうだ。
 エイプリルはすぐさま移動本部であるトレーラーの無線機で、KITTを呼び出しにかかった。
「KITT、KITT! お願い、答えて! 聞こえないの? KITT!」
 KITTは無線機のスイッチを全て切っているのか、いくらパワーを上げてもいっこうに受信される気配が無い。
「だめだわ」
 これ以上パワーを上げれば、ロサンゼルス中の通信機器に影響が出てしまいかねない。
 エイプリルは無線を諦め、今度は衛星通信回線でナイト2000と接続された端末のスイッチを入れた。
 システム・ロードが終了するのを待って、直ちにキーボードを叩いてKITTへのアクセスを試みた。
 −−LINE ERROR −−
 スクリーン上に短いメッセージが点滅する。
 エイプリルはもどかしげにゆたかなブロンドの髪をかき上げると、再び同じ操作を繰り返した。
 −− LINE TIME OUT 《CANCEL》−−
「KITTがこちらからのアクセスを拒絶しているんだわ。KITT……あなた、本当に狂ってしまったの?」
 もはや自分に打てる手は無いのだろうか…。KITTが自ら回線をオープンにしない限り連絡を取る事は出来ないのか?
 エラー・メッセージの点滅する端末の前で、エイプリルは頭を抱え込んだ……。


<<Back Next>>