White Bird [Part.4]
[PART 4]
70.コール弁護士のオフィスの外、廊下----夜
(マイケルが近づいてくる。合鍵でドアを開けるのに5分かかる)
71.コールのオフィス内----夜
(まっすぐデスクへ向かうマイケル。カレンダーをくる。3・4回ソーランの名前がメモしてある。
引き出しを試すが鍵がかかっている。急いでファイルの棚へ行き、2冊のフォルダーを取り出す。
『組合vsレイノルズ』及び『土地賃貸----アダムストン・ショッピング・センター』の表題)
マイケル :ソーラン……アンソニー・ソーラン……。
KITT :(通信機より)マイケル、警報機の電波をキャッチしました。(間)警備員がそちら
へ向かっています。
(マイケル、窓へ近寄る)
マイケル :(通信機へ)時間はあるか?
(ファイルを持ち上げ、本をくるようにページをくる)
KITT :(通信機より)1分くらいなら、マイケル。
(素早く、ファイルを棚にもどし、ザッと見回してからドアへ向かうマイケル)
72.ビルの廊下----夜
(マイケル顔を出す。誰もいない。自動鍵をおろし、後ろ手にドアを閉め、歩き出す)
KITT :(通信機より)その廊下に来ますよ。マイケル。
マイケル :O.K。KITT。
73.同
(警備員が来る寸前に、コーナーに身を隠すマイケル。ガードマン、コールのドアをチェックし、鍵
を開けて入っていく。ドアが閉まるまで待ってから、前を通り過ぎるマイケル)
74.----カット----
75.----カット----
76.----カット----
77.本部・テラス----昼
(新聞を読んでいるステファニー。それを下に置き、マイケルの顔を見る)
ステファニー:『弁護士秘書、ギャングの陰謀に加担』ですって! 全部嘘っぱちよ。(間)何が目
的なのかしら? 私が金の運び屋だって大陪審が信じると思ってるの?
マイケル :ステファニー。楽観は禁物だよ。問題は、君と奴の信用度だ。
ステファニー:ええ、やってやるわ。私の信用度は完璧よ。
(マイケルが気まずそうに顔を背けるのに気づく)
ステファニー:そう思うでしょ、マイケル?
マイケル :はっきりするまでは何も言わないよ。
ステファニー:どういう意味?
マイケル :ステファニー。記録によると、君には前科がある。
ステファニー:何ですって?!
マイケル :2度ベガスで逮捕されているんだ。
ステファニー:そんなバカなこと! 生まれてこのかた、逮捕なんてされたことないわよ……容疑は
何なの?
マイケル :(言いにくそうに)売春未遂だ。
(赤面して、じっと見つめるステファニー)
ステファニー:嘘よ! でっち上げにきまってるわ!
マイケル :調査中だ。
ステファニー:(間)あなたは信じてくれるわね?
(マイケル、ステファニーの真剣な目を見つめる。彼女の手にふれ、肯く)
マイケル :ああ、信じてる。問題は大陪審だ。
ボニー :マイケル、デボンが呼んでるわ。
78.コンピュータ室----昼
(コンピュータの前のマイケルとデボン)
(79.)
デボン :ステファニーの逮捕記録だ。いいか……(読み上げる)ステファニー・メーソン。
ラス・ベガス。1982年6月10日。売春未遂。担当警官:ウィリアム・ドナー。
ラス・ベガス。1982年7月23日。売春未遂。担当:ウィリアム・ドナー。
80.マイケルとデボンのカット。
マイケル :担当は同じ警官か。おもしろい。
デボン :さて、次はこれだ。
(パンチする。別のリード・アウト。読む)
デボン :ウィリアム・ドナー。警察勤務暦10年。去年秋に内部スキャンダルで告発されるも
無罪となる。その後、失踪……(スクリーンに顔写真が出る)この男だ。
(マイケル、近寄ってみる)
マイケル :ちょっと待ってくれ! 尾行車で見た顔だ。(通信機へ)KITT。隠れ家へつけて
きた車の運転手の顔をこいつとつなげてくれ。
KITT :O.K。マイケル。
(写真現れる。ブレイクとウィリアム・ドナーの顔。ぴったり合う)
マイケル :こいつだ。証拠が出たぞ。ステファニーに偽の前科をでっち上げやがった奴等だ。
デボン :そう急ぎなさんな。これでステファニーの前科の真実性は疑わしくなってきたが、ギ
ルバートには歯がたたんぞ。これだけじゃな。
マイケル :それじゃぁ何を持ってきたらいいんだ? もう時間がないんだぞ……。
ステファニー:私ならできるわ。
(2人が振り向くと、ドアの所にステファニーがボニーと立っている)
81.デボンのオフィス内----昼
(受話器を取り、ダイヤルをまわすステファニー。不安そうな低い声)
ステファニー:(電話で)ギルバートさん? 私です……ステファニー。助けがいるんです。
コール :今、どこだ? 家か?
ステファニー:いいえ。財団本部ですわ。でも、小耳にはさんだ話しでは、山の隠れ家へつれて行く
って……。誰か来ます。また向こうからかけますわ。
(電話を切り、マイケルとデボンに向き直るステファニー)
82.----カット----
83.山手の道路----昼
(KITT、カーブを走っていく)
84.車内----昼----マイケルとステファニー
(2人とも緊張を見せないよう努力している)
マイケル :いいか、何があってもKITTから離れるなよ。
ステファニー:わかったわ。
マイケル :ステファニー、約束だぞ。
ステファニー:(にっこり笑って)必ず守るわ。
マイケル :オーケイ。デボンは待機している。後は待つだけだ。
(緊張し、肯くマイケル)
85.山小屋の外----昼
(ゆっくり、警戒状態で近づいてくるKITT)
86.車内----昼----マイケルは:
(周囲一帯をスキャンする)
マイケル :KITT、キャビンを調べてくれ。
マイケル :誰もいません、マイケル。
(小屋に乗りつけるマイケル。車から出ようとして----)
ステファニー:マイケル。私ちょっぴり恐いわ。
マイケル :大丈夫。うまく行くさ。きっとね。
KITT :マイケルがそういうからには大丈夫です。
ステファニー:そうだといいけど。
87.車の外----昼
(ゆっくり車を降り、小屋の裏へ歩いていくマイケル)
KITT :(通信機より)マイケル! 車が1台、急接近中です!
88.マイケルのアップ
マイケル :(通信機へ)やったぜ!
(KITTへ走るマイケル)
89.小屋へ通じる道
(タイヤを軋ませながらカーブを曲がるセダン)
90.暗色のセダン。
(2人の男。ブレイクが運転。その横のウィリアム・ドナー、窓越しにサブマシンガンをぶっぱなし
始める)
91.----カット----
92.KITT:
(前に飛び出し、マイケルとセダンの間に入る。開いたドアからマイケルが飛び込む。銃弾幕)
93.山小屋
(狙いをそれた弾があたり、ガラスが飛び散る。)
94.セダン:
(グルッとまわって、KITTにありったけの銃弾を浴びせる----が、効果なし)
95.セダンの中
(あわて始める殺し屋たち)
ドナー :タマがきかねぇ!
96.KITTの中
マイケル :さあ、奴等が来るぞ。
KITT :ここでじっとしてろって言うんですか?
マイケル :ちょっと待て。
97.フル・アングルで:
(最後の瞬間にKITT発進。目標を失したセダンは土手を飛び越え、峡谷の中へ)
98.KITTの中
マイケル :(ステファニーへ)怪我はない?
(身震いしてうなずくステファニー。車から降りるマイケル)
99.セダン:
(ドナーとブレイクが車から出ようとじたばたしているところへ、土手を滑り降りていくマイケル。
気づいて、ブレイクが拳銃を抜こうとするが、パンチ1発くらってのびてしまう)
100.別アングルより:
(ドナーがやっきになってマシンガンを探している。背後からつかんで、ボンネットに打ち付けるマ
イケル。)
マイケル :コールはどこだ?
ドナー :何の話かわからんな。
(もう一度、頭を打ち付けてやろうと構えるマイケル)
デボンの声 :マイケル?
101.デボンと警官たち:
(土手の上から見下ろしている。警官は銃をかまえている)
デボン :手伝いがいるかね?
マイケル :いや、ちょいと2人きりにしてくれ。
(ニヤリと笑って、したり顔で肯き、手を振って警官たちを下がらせるデボン。ここに至って初めて
脅えを見せるドナー。マイケル、ドナーに向き直る)
マイケル :さあ、これが最後のチャンスだ。コールはどこにいる?
102.----カット----
103.----カット----
104.空港----昼
(ターミナルの近くで待機中のセスナ150機。準備万端。機体の横をイライラと時計を見ながら言
ったり来たりしているソーラン)
105.通り
(空港へ突っ走るKITT)
106.セスナ:
(コール、ターミナル・ビルから出てきてソーランの所へ急いでいく)
コール :連絡なしだ。チェックさせたが、線が切れているそうだ。
ソーラン :何か手違いがあったな。出発しよう。
107〜116 カット→かわりに次の(A)から(D)が入る
(A).車内
(空港へ向かうKITT)
KITT :間に合うでしょうか?
マイケル :だといいが。「完了」報告の電話がないと知ったら……。
KITT :マイケル、前方にフェンスがあります。
マイケル :心配無用さ。
(B).空港----昼
(空港の中に突入。逃げるセスナ機を追うKITT)
(C).車内
マイケル :追いつけるか?
KITT :心配無用です。
KITT :離陸スピードに上がってきました。
マイケル :ああ。(間)止めるにゃ、あの手しかないぞ。
KITT :いつでもどうぞ、マイケル。
マイケル :さあ、行くぞ!
KITT :いつも通りですね。
(D).空港----滑走路上----昼
(KITT、ジャンプしてセスナ機の後部を突き抜ける。セスナ機は大破してとまる。コールとソラ
ンが破壊された機体から抜け出そうともがいている。マイケル、コールを引きずり出し、殴り付けよ
うとするが、ふと手をとめて----)
マイケル :いつもなら、先に「告白」を聞くんだが、今日は別だ----
117.山小屋の外----昼(BGM:「白い鳥」)
(マイケルとステファニーが、山はだに立って話している。眼下に広がる草地。どちらも話しにくそ
うだが、心の中で急き立てるものがあって、さけようとはしない)
ステファニー:連邦局の検事と話したわ。証言後は証人保護扱いになるんですって。住む家や名前も
新しくして・・・まるで全部嘘みたい。
マイケル :君は全てを乗り越えたんだ。もう悪夢は終わったんだよ。
ステファニー:(そっと)夢も消えたわ。
(彼女は無意識に首に手をやる。ネックレスはなく、マイケルもその事に気づく)
マイケル :ネックレスは? なくしたのかい?
ステファニー:いいえ。返したの。
(当惑の表情のマイケル)
ステファニー:別人になるのって変な気分ね。今までの自分を捨てて……。
(見詰め合う2人。暗示された質問に答えはない)
(目をそらすステファニー。あふれてきそうな涙を必死で押し戻す。山や木や空をみつめる)
ステファニー:(そっと)昔、ある鳥の話を読んだわ。「白い鳥」っていうの。その鳥は眠るのも、
食べるのも、ずっと飛びまわりながらなの。生涯を空中で過ごす----それが運命なの
……。
(やさしく向き直らせようとするマイケル。じっと互いの顔を見つめ合う二人。マイケルはそっとキ
スする)
ステファニー:さよなら、マイケル。
マイケル :さよなら……スティービー。
(もう一度キス。ステファニーの目に涙がたまっている)
(ステファニー、きびすを返し、山小屋へ歩いていく。ポーチに立つデボン。正面にKITTと、迎
えのパトカーがとまっている)
118.マイケルのアップ:
(泣くまいとしながら、後ろ姿を見送る。彼女にとっても彼にとっても、ついに過去の愛情は永遠に
封じ込められてしまった)
119.フル・アングル
(車のところへ歩いていくステファニーを崖っぷちで見送るマイケル。立ち止まって、もう一度ふり
かえってから車に乗り込むステファニー。パトカーは出発する。後を見送るマイケル)