<<<Back ▲UP ■ TEAM KNIGHT RIDER - about Story - ■



<概要>

 10年前1人の男と1台の車(マイケル・ナイトとKnight2000)が悪と戦っていたが、新しいタイプの犯罪に対処すべくFALGはあらたに5名のスペシャリストを集め、それぞれ最高水準の技術である乗り物とペアにした。彼らは「Tema Knight Rider」と呼ばれた(キャラクター対のビークルはそれぞれのページを参照してください)。

 ナイト財団の中でもFLAGは独立した部門になり、ヨーロッパにも支部を持つ程の規模になっていた。そして実動部隊であるTeam Knight Rider(以下TKR)はC-5 Garaxyクラスの大型輸送機を「移動基地」としていた。それぞれのメンバーにあてがわれたビークルは、その乗り手の性格に一番マッチしたように設定され、乗り手の個性をそのまま反映したものとなっていて、ビークルの中でもリーダー格は存在した(人間のチームのリーダーであるカイルの車、ダンテがそれ)。

 TKRのメンバーは、FLAG上層部からの司令によって事件に対処し、彼らの事は世間一般にも広く知られていて、シリーズの中で唯一世間の人からも「(チーム)ナイトライダー」と呼ばれる存在だった。


<ストーリーとコメント>

 1990年代終盤。この頃FLAGはすでにかなりの規模の「組織」として確立されていた。この時点ではデボンもマイケルも居ない上、マイケル・ナイトに関する情報はFLAGの中ですら「極秘事項」として扱われていた。

 FLAGによって新たに組織されたTKRは、FALG上層部の司令により様々な事件の解決に当たっていたが、そんな彼らを常に監視する敵がいた。その敵は「メビウス」を名乗る、車椅子に乗る謎の人物で、彼の目的が何であるかも謎だった。時にTKRのメンバーを窮地に追い詰めながら、本当に殺す意図があるのかどうかさえあやしいのだ。TKRをいたぶって喜んでいる……そんな風にさえ見える。

 TKRのメンバーの一人ジェニーもまた単に「悪と戦う」だけが目的でTKRのメンバーになったのではなかった。彼女は自分の実の父親が「マイケル・ナイト」なのではないかと考え、真実を突き止めたいと言う目的を持っていた。だがTKRのメンバーである彼女にすらFLAGのコンピュータから「マイケル・ナイト」の情報を引き出す事は出来なかった。

 ジェニーの何度かにわたる「FLAGのコンピュータへの不正アクセス」が上層部の誤解を生み、彼女こそ「メビウス」のスパイではないかと疑われ、FLAG内の裁判にかけられ、有罪とされてしまう。そこで初めて彼女は自分が「マイケル・ナイトの娘かどうか、真実を知りたかった」とカイルに話した。

 「メビウス」と言う謎の敵がいる一方、TKRにはまた「シャドウ」と名乗る謎の協力者(?)もいた。時に彼は突然現れ、重要な助言を与えたりするが、彼が何ものなのか、本当に実体のある人物なのかも分からなかった。

 謎だらけのシーズンの最後になって出てきた決定的謎は「FLAGヨーロッパ支部」からやってきた、TKRのビーグルと同じく「思考し自分で行動出来る車“Knight Alpha”(以下KA)」だった。彼は多言語を扱えるが通常ドイツ語を話し、アメリカ人を嫌うが、実はそのCPUはかつて「ナイト2000」のCPU「KITT」だった。KITTがなぜアメリカ人を嫌い、ヨーロッパのKAのCPUになっていたのかはまったく分からない。

 ジェニーは結局本当に「マイケル・ナイト」の娘だった。そして謎とされていたマイケル・ナイトは、すでに墓石まで作ってあったにもかかわらず生きていた。さらに謎の敵「メビウス」はどうやらガース・ナイトの成れの果てらしい。最終回(#22:Legion Of Doom)で、シャドウはまんまとスカイ・1に潜入し、KAに搭載されていたKITTを連れ(何故か「一緒に行こう」的な雰囲気だった)去ってしまい、そこにのこされた謎のメモにあった所番地へTKRが行ってみると、そこには「マイケル・ナイト」の墓があり、そしてその場に現れた人物が「私がかつてマイケル・ナイトと呼ばれていた者だ」と名乗った(役者はハッセルホフではなかった)。


 ……で、それからどうなったかと言えば………これがどうにもならなかったのだ。番組自体が1シーズンで放映終了となってしまった為、すべての謎は「謎のまま」で終わってしまった。ジェニーがマイケルの娘だと言うのなら、いったい誰との娘で、なぜ「養女」に出したのかも分からないし、メビウスが本当にガースだったのかも謎のままだし(ガースのわりには歳を取りすぎているように見えた。メビウスの正体は「デボン」だとか「カイルの父」だとか言う説もある)、KAに入っていたのは本当にKITTだったのかもはっきりとは分からないままになってしまったし、仮にKITTだったとしたらいったいKITTの身に(またはKITTとマイケルの身に)何が起きたのかも分からない。なぜマイケルが「死んだ」事にして世間から身を隠すのかも……。それに謎の協力者「シャドウ」も、マイケル・ナイトだったのか、あるいはKITTが見せたホログラムだったのか、又はKITTとマイケルが連絡を取り合って動いていたのか……。

 ここまで大風呂敷を広げた揚げ句「第2シーズンはありません」と言われては、視聴者の方もただ呆れるしか無い。どこでぶち切っても大丈夫なシリーズ構成を得意とするアメリカ作品にしては結構珍しく「メチャクチャな最終回」だった。

 ただ、キャラクター的にはなかなか個性があって良かったと思う(個人的にはトレックとエリカがお気に入り(^-^;;)。ビーグルの性格も分かってくると結構楽しい。

 それでも不満は沢山ある。やはり登場人物が多すぎた事が一番の問題だろう。人間の方だけで5名に加え、各人格を持った(KITT以上に個性的な)ビーグルが5台。これで合計10名いる事になり、当然ビーグルと搭乗者の会話も(数で割った分)少なくなる。マイケルとKITTのような親密さを感じにくいのはそのあたりが最大の原因だろう。また、TKRのメンバーがあまりに組織の一員となっていて(青い制服まである)、最初のナイト・ライダーの「一人だからこそ自由に戦える」と言う主旨からはかなりズレているように思える。FLAG自体の変質もあまり嬉しい方向ではなかった。改造人間だか強化人間だか、変なものを作ったりしていたし……。
 それから「車の性能が低すぎる」のは情けない。ナイト2000の分子結合殻はどこへ行ってしまったのやら……な程によわい。すぐにボコボコにされてしまう。10年前のテクノロジーの方が上だったのか? しかもスピードが遅い! 台詞では「すごい速度が出ている」ような事を言うくせに、画像では一般車両と比べて「すごく速い!」ように見えない。そのくせ(いや、だからこそか?)武器の類いは結構色々搭載している。レーザーだったりミサイルだったり……(命中精度は良いとは言えないが)。

あと、車のメーカーがポンティアック(GM)から「Ford」に代ってしまったせいかどうか、デザインがつまらない。ナイト2000の黒い'82モデルのトランザムは見た目にも美しかったと思うが、TKRの車は「美しさ」が無い!! あれではFordの方もイメージUPどころかダウンしてしまうだろう。

 製作者側としては第2シーズンも作るつもりでいたのだから、こう言う訳の分からない幕切れになってしまったのも仕方ないと言えば仕方ないかもしれない。しかしいずれにしてもこれ程視聴者が「置いてけ堀」な番組も珍しかった。