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Special Thanks OASYS・SY 硲 蒼子


  飛行中のDC-3輸送機の積み荷の中のコンピュータが、輸送機のコントロールを故意に不能にした為、ふたりのパイロットはパラシュートで脱出した。その後、積み荷のコンピュータは輸送機を強制的に墜落させた。

  デボンの後任に抜擢され、FLAGの改革を監督するジェイムズ・マーランドは、カイルに、当局による正規の調査の前にこの墜落について調査するよう頼んだ。それはTKRの正規の仕事ではなかったので、カイルはこの任務をボランティア任務にしようと提案した。
  だが他のメンバーはみな参加を嫌がり、ジェニーだけがそれに参加することに同意した。
  カイルとジェニーとカイルのビーグル・ダンテは墜落現場を発見し調査を始める。その時近くで銃声を聞き、そっちの方へとかけつけた。彼らは「“木の箱の中に入っていたスポーツカー”に危うく殺されそうになった」という二人のハンターを見つけた。

  その車は、FLAGによって「KITTとマイケル・ナイトにかわるもの」として設計された黒のフェラーリ、“the Knight Refomulation One(K.R.O.)”であると確認された。現在のTKRのビークルのように、KROのパーソナリティはそのドライバーから引き出された。つまり、KROの場合はマーティン・ジャンセンである。マーティンはマイケル・ナイトの後継者としてマーランドに抜擢されたが、あとになって彼の性格が不安定であり、任務に不適格であることがわかった。そしてKROもその同じ性格上の欠陥を受け継いでしまっていた為、使用を中止されていたのだった。

  チームの残りがKROを止めようとしているあいだに、カイルはホワイト・サンズ留置施設にいるジャンセンと話しをしに行った。

  カイルは、KROが墜落した輸送機に積まれていたことを彼らに知らせなかったマーランドの失策に憤慨した。

  KROの戦闘機能はTKRのビーグル以上だった。ビーストは彼のリア・アクセルをKROのミサイルで吹き飛ばされ、危うく破壊されるところだった。
カイルには相談せず、トレックとエリカはKROの弱点を見つけるためにマーランドと話し合いに行った。マーランドはトレックにKROのプログラムを完全消去してしまうソフトの入ったCDを渡した。しかしそれは、KROの内部からインストールされなければならない。

  トレックは走っているKROの内部に何とか入り込むことができたが、KROはそのセキュリティ・システムを使って逆にトレックを人質とし、トレックとマーティンの交換を要求した。その要求はかなえられた。

  マーティンとKROは、ジェイムズ・マーランドに復讐するために彼を追い求めた。トレックとエリカは、そこいらじゅうにある金属がKROのスキャナーを混乱させることを期待して、マーランドを廃車置き場におびき寄せた。だがそれは無駄だった。
  しかしマーティンとKROはトレックの作った装置で出来たマーランドのホログラムに騙され、それについてきたところを、ダンテに大きな(プール様の)スチール・ボックスの中に押し落とされた。
  マーランドはカイルが止めるのも聞かず、KROが入ったままのボックスを、溶けた金属で満たした。カイルはマーティンを救おうとし、KROもマーランドに「あなただけでも逃げてくれ」と言ったが、マーランドはKROのその言葉を聞くと逆に カイルの救援の手を拒み、彼の愛車とその運命をともにした。


<コメント>

 この回は、オリジナルのナイトライダー(以降オリジナル)で言う所の「KARR」の話しと類似している。

 TKRの時代では、それぞれの自意識を持ったビークルの性格付けはそのドライバーに合わせたもになっている為、KROもそのドライバーとして選任されたマーティンの性格に合ったものに設定・調整されていたが、ドライバーの人格に問題があった為その問題点がそのままKROのコンピュータにも移植されてしまい、「悪の車」として処分される事になっていた。

 ただしKARRと決定的に異なるのは、KARRは「自己保存」が最重要事項としてプログラムされていたが故に、ドライバーの安全すら守らない車になってしまった事が問題だったのだが、KROの場合はドライバーのマーティンに対してはまったく忠実だった。だからこそ囚われの身になったマーティンを救出し、自分たちをそんな立場にしたFLAGのマーランドに対して「二人で」復讐しようとしたのだった。

 そして最後に、マーランドによって(車中にマーティンが居るにもかかわらず)解けた金属を流し込まれ、カイルがマーティンを助けようと手をさしのべた時、KROはマーティンに「あなただけでも逃げてくれ」と懇願した。だがマーティンは自分が完全にマーランドに負けた事を知り、そして自らカイルの救出の手を拒絶してKROと共に溶けた金属の中に消えて行った。このKROの忠実さは、例えその性格に問題があったとしてもオリジナルのマイケルとKITTを髣髴させた。

 ところでこの回出てくる「デボンの後任としてFLAGの改革を担った」マーランドだが、設定でも「人望の無い男」とされている。確かにいくら自分に対して復讐を企てた男と車(マーティンとKRO)だとしても、生きた人間(しかも逃げる事が出来なくなっている状態で)に対して高熱で溶けた金属を流し込むなど、カイルでなくても「止めろ!」と言いたい。いくらアメリカでも正当防衛は成立しないと思う。これは確かに「殺人」だった。この時代のFLAGの幹部は殺人さえ許されるのか?

 この「マーランドがFLAGの改革を担った」事が、実はデボン、マイケル、KITTがFLAGから居なくなった事と深い関りがあるらしい(KITTはどうやらヨーロッパに行ったらしいが)。確かにオリジナルのFLAGと「Team Knight Rider」のFLAGは体質がまるでかわってしまっている。組織が巨大化しただけでなく、かなり怪しげな研究もしているらしい(#14:The Return Of MegamanではFLAG製「特殊強化人間」まで出てきた)。

 この「FLAGが何故かわってしまったか」の部分が解明される事なく番組は終了してしまった為、真相は結局謎のままで終わってしまったのが残念だった。