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Chapter 20




 陽が沈んでからすでに何時間かが過ぎ、一般の職員も殆どが帰ってしまったFLAG本部には、3日ぶりにデボン、マイケル、エイプリルの3人が顔を揃えていた。
「……そうか、分かった。それじゃあ後は君に任せたぞ」
 デボンは電話を切ると、晴れやかな表情でマイケルとエイプリルを見た。
「サンダース准将は空港で逮捕されたそうだ。逃げた雑魚どももそのうち捕まるだろう。それから国防総省にあるナイト2000に関する情報も、クレメントが責任を持って抹消すると言っている。これでまずは一安心だ」
「そうすると、あと問題はガースだけって訳ね」
 エイプリルが腕組みをして言う。
 デボンも顔をしかめて、
「ふん。奴の悪運の強さと悪知恵には全く恐れ入るな。まんまと国防総省を手玉に取りおった」
「それから、あんたもな、デボン」
 と、マイケルが悪戯っぽく言う、
「いや…、この件に関しては私の不注意だった。君とKITTには申し分けない事をしたと思っとるよ」
 すっかり恐縮するデボンの肩に、マイケルは肘を乗せて顔を近づけた。
「本当にそう思うのかい?」
「ああ、本当だとも」
「じゃあ態度で示してもらいたいね」
「態度で?」
 マイケルはデボンから離れると、大袈裟な身振りで言い出した。
「今回の事件で俺もKITTも心身共に深い痛手をおった。この痛手を癒す為に、俺はKITTとしばらく旅に出る事にする」
「何だって!?」
 デボンが驚いて椅子から立上がった。
 だがマイケルはそんな事は気にもとめない様子で続ける。
「そうさ。心の傷は深いんだぜ。とりわけKITTはな。だから俺達は明日から1週間の休暇を要求する! いいだろう? デボン」
 マイケルがデボンに微笑みかける。デボンが呆れて言葉も出ないでいると、
「よーし! 交渉成立だ! それじゃあ俺は明日の支度もあるし、今夜はこれで失礼させてもらうよ」
 マイケルはデボンとエイプリルに手を振ると、足取りも軽くデボンの執務室を出ようとする。
「待て! マイケル。それとこれとは……」
 デボンは呼び止めかけたが途中で止め、「してやられた」とでも言うように首を振った。
 しかしやがてデボンは満足そうな笑みをうかべた。
 エイプリルも僅かに首をすくめただけで、デボンの方を見て微笑んでいる。
 やがてデボンはいつものように、事件の最後の後始末をするべく、デスクの上のファイルを取り上げた……。


デボンとエイプリル


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