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Fiel No. A-1918-1/Nov.02.1984

IBMワトソン研究所におけるコンピュータ関連事故に関する報告書

報告者:Dr.J.ハーブ


IBMワトソン研究所のニューロ・コンピュータの権威であるアルマン・デュポン博士が1984年に設計した「感情を持つコンピュータ」に事故が発生した。

以下は、その概要である。


今回事故が起きたコンピュータ(通称アダム:以下アダムと称する)は、人間的感情を持つ人工知能コンピュータのプロトタイプとして、アルマン・デュポン博士が設計し、博士自らが、その発達段階の教育に当たっていた。
 教育は順調に推移していたが、1984年10月2X日に、博士が研究所内に於いて急死を遂げた為、その研究は同研究所のスレンダー博士が引き継いだ。
 事故はその翌日に発生した。この事故の数時間前から、アダムに僅かながら異常状態と思われるデータが認められた為、正常化へ向けての作業が行われていた。しかし、異常状態は次第に拡大し、ついに修復不可能となった為、アダムの機能を強制的に停止させた。その後、アダムのプログラム・トレースが行われた結果、異常の最初の発生と、デュポン博士の死亡日時との関連が認められた。この事より、博士の死がアダムに何らかの影響を与えたと推測されるが、それが事故の原因であると確定はできていない。
 コンピュータが感情を持ち、人間と深く関りを持つ事が、その思考体系にどのような影響を与えるかについては、今後の研究を待つ必要があろう。
 尚、事故の原因解明がなされていない現在、アダムはその機能を凍結されている。


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