■ "Classic VIPER" と "VIPER" |
![]() "VIPER"のタイトル画面 |
「VIPER」のパイロット版がアメリカでパラマウント社&Pet Fly Productionによって製作されたのは1993年春のことだった。実際に第1話「消された過去(Pilot)」が放映されたのは1994年1月2日、NBC系列によってだが、最初にパラマウントが持ち込んだのはCBSだった。CBS側は、自社ネットワークで放映するにはバイオレンス過ぎると判断し、一時バイパー放映企画はお蔵入りする。しかしパラマント側の働きで結局94年冒頭からNBCによって放映される運びとなった。 |
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「VIPER」は元々は当時経営の危機にあったクライスラー社のが92年に発売を開始した"DODGE
VIPER RT/10"を売り出すための、いわば社運をかけた長大なCMとして造られたシリーズだった。94年1月から約1年にわたって放映されたものは、パラマウント社内で"Classic
VIPER"とも呼ばれているもので、後に1996年から3年にわたってシンジケート(CBSやNBCのような大手ではない、ローカル配信のネットワークの総称)で放映された"VIPER"とは基本的には「別物」なのだ。 |
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![]() Paramount社ロゴ画面 |
![]() Pet Fly Productionsロゴ画面 |
第1シーズンの1話あたりの製作にかけられたコストは、当時のゴールデンアワー(20:00〜21:00)に放映されたシリーズ物の中でも(レギュラーに特に大物俳優を配したわけではないにもかかわらず)破格だったらしい(1エピソードあたり150万ドルとか)。 最初にクライスラーは「DODGE VIPER RT/10 Roadster」12台を撮影用として提供しただけでなく、ディフェンダーも設計から製作まで自社内で行い提供した。それだけでもかなりの費用だが、この作品で大活躍しているCGの制作費もまた莫大なものだった。2台の車(RT/10とディフェンダー)をスキャンして、ミリ単位の精度でコンピュータでモーフィングするわけだが、その作業は「MetroLight Studio」が行った。「MetroLight Studio」はバイパーの変形シーンだけでなく、バイパー搭載の兵器などのCGも製作している。 この番組がクライスラー社の経営にどれほど貢献したかは分からないが、番組としてはかなり成功だった。そしてその結果、約2年のブランクの後、「第2シーズン」以降が製作・放映されることとなった。 |
![]() こう言う変形シーン1ヵ所のCG制作費が5万ドル!? |
第1シーズから約2年後に放映が開始された第2シーズンでは、主人公がジョー・アスター(ジェームズ・マキャフリー)からトーマス・コール(ジェフ・カーク)に変わった。それに伴い他のレギュラー・メンバーもフランキーを除いて入れ替わり、物語の方向性も大きく変更になった。放送系列も大手ネットワークNBCからローカル局のシンジケートへと変更になった。放映時間も深夜帯や午前中など、かなりの移動となった。ドラマそのものが大きく変わってしまったことに加え、これらの外的な状況もあって、第2シーズンからは思ったような視聴率が上げられなかった。特にドラマ内容については第2・3シーズンのファンの評価はかなり低い。 放映の環境のほかにも、第1シーズンでは(長大なCMという面があったため)クライスラーの全面的バックアップがあったが、第2シーズンからはそれも無く、CG制作もMetroLight StudioからBB&J Visual Effectsに引き継がれた。これによってバイパーからディフェンダーへの変形シーンが大きく変わることとなる。 第2シーズンでの視聴率の低さから製作側も巻きなおしを計ったが、第3シーズンは出演者との契約の関係で主役はジェフ・カークのまま一部レギュラーのみの入れ替えを行った。しかし一部地域の局では、第2シーズンまでは放映したものの第3シーズンの放映は行われなかった。 第4シーズンでは第1シーズンで人気の高かったジョー・アスター(ジェームズ・マキャフリー)を再び主役に置いたが(これである程度人気回復にはなったらしいのだが)、第5シーズンは企画まではされたものの、結局「放映枠が確保できなかった」為、第4シーズンで「VIPER」は終了することとなった。 |
■ 日本での「ハイテク武装車バイパー」事情 |
アメリカやヨーロッパではかなりの人気を博した「VIPER」だったが、日本では1998年にやっと第1シーズンの最初の3話分(VHSで2本)がCIC・ビクタービデオから発売され、また1999年春頃から地上波の一部の局のみで第1シーズンが「ハイテク武装車バイパー」として放映された(さらに一部局では第2シーズンまで放映が続いた)。しかしそれも深夜時間帯だったり各週だったりと、おおよそ恵まれた状況ではなかった。 地上波に少し遅れて、CSやケーブルテレビに番組を提供している「スーパーチャンネル」(東北新社系)で第2シーズンが「ハイテク武装車バイパー2」として放映されたが、第1シーズン未放映のままだったため、「バイパーの成り立ちの説明」もなしでのスタートとなってしまった。さらに2001年6月から同じくスーパーチャンネルで第4シーズンの放映が「ハイテク武装車 新バイパー」というタイトルで始まったが(※1)、ここで第3シーズンも飛ばしてしまったため、なぜコールからジョーに主人公が交代したのかも曖昧になってしまった。また、第4シーズンではストーリー中ジョー・アスターの過去についてのネタが時々出てきたが、スーパーチャンネルでは第1シーズンは放映していない上、地上波の方でも第1シーズンが放映された地区があまりに少なかったため、多くの視聴者はどういう話の流れなのかが十分理解できないままで終わるという、「物語性」を激しく損なった視聴者無視な残念な結果となってしまっている。 ※1:第4シーズンからは配給会社は東北新社ではなくムービーテレビジョンとなったが、この会社、2004年3月に経営破たんし、民事再生法が適用となった。 |